体と心にやさしい光のデザイン 環境部会 世話人副代表 照井康穂 多くのエネルギーを消費する照明。しかし私たちの生活はもはや照明なしではなりたたなくなっています。一方、都市に一晩中溢れるあかりは私たちの心と体に予想以上に大きな影響を与えることがわかってきました。 2008年6月12日、大光電気(株)ショールーム「DAIKO Lighting CORE」3Fにて、大光電気(株)行方瑞木氏を講師に迎え、生体リズムと「あかり」の関係を見直し「人間にとって本当に暮らしやすい照明とは何か」をテーマに、セミナーを開催いたしました。 農業の分野では、光の強さや、色を制御し、作物の成長をコントロールすることは既に一般的に実用化されています。生物であるヒトの生体にも光が大きく影響しているとのことです。 最初に、生体リズムと光の関係: 生物には、睡眠覚醒や体温の変化など、約24時間周期で営まれる生体リズムがあり、このリズムが、朝スムーズに目覚め、夜ぐっすり眠るという「Quality Of Life」の根幹をなすもので、人間の体内時計は昼夜の明暗サイクルがなく、時刻の手がかりがないところでは25時間になることが知られており、この時計を毎日リセットし24時間の地球のリズムに同調させるには、朝の白色高照度光を浴びることが最も効果的とのことです。 次に、光と脳の関係: 光の刺激は目→脳→視床下部と到達し、視床下部の脳下垂体にある松果体が、周囲の光の変化をホルモンの分泌で体に伝え、1日の生体リズムや季節のリズムを整え、体内で光時計の役割を果たしている。生物は1日の変化や季節の移り変わりを光によって感知し、睡眠覚醒リズムなどの生体リズムをコントロールしています。 光治療: 生体リズムの乱れを正常に戻す方法として光による治療が注目されており、リズムのメリハリを失って体温の上昇や覚醒レベルが落ち、不眠や気怠さに悩む患者さんに光を「投薬」し正常なリズムに戻るよう整える治療です。基本的には午前中の太陽の光に多い青の波長を含んだ人工光を所定の時間浴びるというもので、時差ボケや不眠等の症状の改善に効果を上げています。また、高齢者には体内時計の調整よりも、中間の覚醒維持をより強力にサポートすることによって生体リズム機能の弱体化を補うために高照度光治療を使用する方法が知られているとのことです。 工学から生物学等にわたる多岐的な視点からの総合的なお話を、具体的でわかりやすくお聞かせいただきました。 ご案内がセミナー当日間近になってしまったのが残念でしたので、このセミナーのまたの機会をつくれればと考えています。
by hokkaido-jia
| 2008-09-01 10:00
| 北の建築家たち Vol.64
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